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【下】 新技術を検証、お墨付き 老舗企業が伴走支援 - 中日新聞

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 「投資かいわいの生の声が入ってこない」。金沢市の起業家、杉守一樹(いつき)さん(29)=富山県氷見市出身=はベンチャーキャピタル(投資会社)などの情報を得るため頻繁に上京している。そこでの縁が新事業や人材の確保につながることもあるからだ。

 金沢市の会計事務所で働いた後、二〇一六年にIT企業「Dynave(ダイナブ)」を設立。ホームページ制作などの収益と銀行融資の計二千万円を元手に、飲食店などの開業までに必要な手続きをインターネットで完結できるサービス「起業クラウド」を一九年に開発した。

 投資会社から五千万円の資金調達に成功し、三月に事業を拡大した。順風満帆に映るが、「弱気になった時期があった」と杉守さん。投資会社によって異なる助言に振り回され、事業の価値を低く見積もられたこともあった。周りに相談できる起業家の仲間はいなかった。

北陸の地に「スタートアップの基盤をつくりたい」と話す杉守一樹さん=金沢市武蔵町で

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 そんなとき、背中を押してくれたのが老舗商社の三谷産業(金沢市)の三谷忠照社長(35)の言葉だった。「このまま突き抜けた方がいい」

 三谷社長は、米国の投資会社で働きながら起業した経験を持つ。タブレット端末などモバイル技術のコンテストで優勝。商品化まであと一歩だったが、業界の理解がなかなか得られなかった。自身の失敗を糧に、新たな市場を開拓するスタートアップ企業と産業界の接点をつくろうと動く。

 三谷産業グループの取引先は五千社に上る。複雑、多様化する取引先の課題を解決するため社内外で協働を進める。「スタートアップ企業の製品や技術も重要なピース」と位置付ける。

 一八年から先端技術のビジネスコンテストを主催し、一九年は国内外から七十三件のビジネスプランが寄せられた。賞金を出して終わりではなく、継続的に支援する。「良いプランで資金を獲得しても、多くの企業は実証実験にとどまり、継続的に使われる製品を生みだせない状態に陥っている」とみるからだ。

 実績に乏しいスタートアップ企業の製品導入に慎重な取引先も少なくない中、三谷産業が技術的に検証し、責任を持って売り込む。「うちが裏書きすることで地元の自治体や企業につなげたい。スタートアップ企業には、地方の課題解決に自分たちの能力が使えることを認識してもらいたい」

 政府は創業十年未満で未上場のベンチャー企業に、一億円以上出資した企業への減税策を打ち出した。北陸でも老舗企業、自治体が両輪となり、スタートアップ支援の土壌ができつつある。

 「なぜ東京で起業しないのか」。杉守さんは投資家からよく尋ねられたが、北陸での起業にこだわった。「スタートアップの基盤をつくりたい」から。東京一極集中に風穴をあけようと、地方から挑み続ける。=終わり

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March 30, 2020 at 08:20AM
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