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太陽系の起源が分かるかも? 小惑星「りゅうぐう」の砂から最古の有機物発見 - 東京新聞

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探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」に着陸して砂を採取する様子の想像図=池下章裕さん提供

探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」に着陸して砂を採取する様子の想像図=池下章裕さん提供

 探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂から、太陽系が形成される前にできたとみられる有機物の粒子が見つかった。発見したのは岡山大の中村栄三特任教授(物質科学)らの研究チームで、太陽系そのものの起源を解明する手がかりになる可能性もあると期待される。日本学士院紀要に発表した。(増井のぞみ)

◆太陽や惑星と全く異なる成分

 太陽系は約46億年前、宇宙空間を漂うガスやちり(星間雲せいかんうん)からできた。星間雲が重力で集まって回転する円盤になり、その中心に太陽が、周囲に惑星ができたと考えられている。

星間雲の代表例として知られるオリオン大星雲。雲の中に誕生した星の光に照らされ輝く(欧州南天天文台 / I.Chekalin提供)

星間雲の代表例として知られるオリオン大星雲。雲の中に誕生した星の光に照らされ輝く(欧州南天天文台 / I.Chekalin提供)

 星間雲は高温の円盤の中で混ざり合うため、太陽や地球などの惑星は成分が共通で、元素の起源や変遷を示す「同位体比」の数値がほぼ一定の値を示す。ところが、りゅうぐうの有機物を調べると、100個以上の粒子(10マイクロメートル=1ミリの100分の1)で同位体比が太陽や惑星と大きく異なり、最大4倍も違っていた。

 これは、有機物の粒子が太陽や惑星とは別の由来を持つことを示す。研究チームでは、太陽系の誕生時に有機物が円盤の外縁部にあったため、低温で他の物質と混ざらず、星間雲の特徴を残したまま残ったとみる。

今回見つかった、太陽系形成前にできたとみられる有機物の粒子(中央)。大きさは10マイクロメートル=日本学士院紀要に掲載された中村栄三・岡山大特任教授らの論文から

今回見つかった、太陽系形成前にできたとみられる有機物の粒子(中央)。大きさは10マイクロメートル=日本学士院紀要に掲載された中村栄三・岡山大特任教授らの論文から

 同位体比が太陽系と異なる物質は、隕石いんせき彗星すいせいのちりからも見つかっているが小惑星からは初めて。はやぶさ2の科学分析を統括する渡辺誠一郎名古屋大教授(惑星科学)は「りゅうぐうの砂は、これまで人類が手にした中で最も太古の情報をとどめる宇宙試料で、隕石とは違い地球の有機物で汚染されておらず貴重。太陽系の起源も語ってくれるだろう」と語る。

◆「星のリサイクル」の痕跡を求めて

 太陽のような星は、最期に爆発などで大量のガスを放出する。ガスと、ガスが冷えて生成されたちりが星間雲となり、そこから次の新しい星や惑星ができる。宇宙ではこういった星の「リサイクル」が繰り返されている。この有機物は、太陽系の基になった星の情報を残している可能性もある。

 中村特任教授は「この有機物が星間雲の粒子なら太陽系の『先祖』のものと言える。それがどんな星だったか分かるかもしれない」と期待する。

 今後、有機物とさまざまな星の元素合成の同位体比を比較して起源を探るという。

 小惑星りゅうぐう 地球と火星に近い軌道で太陽を回る、そろばんの玉のような形の小惑星。直径約900メートルで色は黒く、岩で覆われている。生命につながる有機物や水を含んだ鉱物が豊富にあるとみられ、探査機はやぶさ2が2019年に表面や地下にある岩石のかけらを採取。20年12月に地球に送り届け、詳細な分析が進められている。

 同位体比 同じ種類の元素でも、原子核を構成する中性子の数が違うため重さが異なるものがあり、同位体と呼ぶ。ほとんどの元素にはいくつかの同位体が存在し、それぞれの同位体の比率を同位体比という。同位体比は、元素が合成される過程の違いによって変化するので、その物質の起源や変遷を探るうえで重要な情報をもたらす。

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